宮古島市議会 令和6年度3月定例会 最終本会議

本日、3月定例会の最終本会議でした。
本会議で意見が分かれた案件も多々ありましたので、まとめておきたいと思います。

みなさんの日々の暮らしの中で感じることは、市議会に届いていますでしょうか。
考えるきっかけになれば幸いです。

宮古島市景観条例及び計画について景観形成基準の中の「高さ制限」を撤廃もしくは大幅緩和をした計画変更等を求める決議

可決されました。

国会で審議されている農業振興地域整備法(農振法)改正案において農地転用がさらに難しくなることを踏まえて、景観条例の高さ制限を撤廃もしくは緩和するよう求めています。

私の受け止めでは、宮古島市民の声で大きいのはむしろ、海岸線はじめ島内の開発を抑制するよう求めるものでした。

ホテル事業者にも開発行為や営業についての自由があり、条例等で制限をもとめることが難しいことは、ツアーガイドが案内できる観光客数を制限する条例を制定した竹富町が訴えられていることからも想像できると思います。

事業者を抑制できるほどの「公共の利益」を主張できるかがポイントとなります。

令和6年第2回宮古島市議会定例会(3月)最終日 - YouTube
※新里議員より提案の場面からスタートします

条例による強制はできない中で、ホテル事業者に宮古島の景観を損なわないようもとめる「景観条例」は、大変貴重で、大切にされるべきものです。

ここからさらに環境や景観保全のために何ができるかは、すでに恩納村が行っている「景観むらづくり計画・景観条例」が参考になると思いますが、いずれにしても慎重に検討する必要があります。

しかしながら今回の決議では、宮古島市議会として景観条例において高さ制限撤廃・緩和を求めるとする意思表示がなされたことになります。

市民の声は議員の皆さんにきちんと届いているのでしょうか。
さまざまな意見があるときに、市議会は慎重になる必要があったのではないでしょうか。

 

粟国恒弘君に対する議員辞職勧告決議

農地について7年にわたって重機置き場として利用し、舗装し上屋など拡張してきたことについて、農地転用違反を指摘されてきた問題で、粟国市議が自ら農業委員会において当事者であることを認めたうえで、同土地の農地転用を求めたことに端を発しています。

決議を提案する過程で、問責決議が相当か、あるいは辞職勧告かと議論がありました。
当人が和解に向けた調整を裁判所に訴えているということで、個人的には現段階では問責決議が相当ではないかと考えていました。

こうした決議というのは、政治的な意味合いも含めて強めに提案されることが、過去の宮古島市議会を見ても感じられます。
強めのやりとりが過剰になる文化に繋がっていきかねないか、懸念する思いもあります。

しかし、前日の一般質問においての「原状回復できない」という発言や、また状況が周知されて以来の市民の反応から、辞職勧告もやむ負えないであろうという総論となり、今回の決議提案となりました。

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※山下議員による提案からスタート、休憩後に粟国市議の釈明、討論・採決です

「農業委員会や行政は7年間も放置していた」という言い分は、問題として指摘されるたびに計画書を提出するなど対応が引き延ばされる状況を作ってきた当人に言える言葉ではないように思いますが、それを差し引いても、期限を設けないまま慣習的に勧告を出すのみの対応が続いた市や農業委員会にも、なぜという思いが残るところです。

辞職勧告に法的拘束力がないということで、本人は続投の意思を示しているようです。

 

議案40号 財産の無償譲渡について

来間小中校舎活用のための建物の無償譲渡を諮った審議では、付託された文教社会委員会で否決とされていました。

校舎は無償譲渡、土地は年額321万の貸付の予定でしたが、無償譲渡ののち事業者が目的変更して利用することがないよう「協定書」の取り交わしがないことなどが理由となりました。

事業者と自治会の協定書は、リーガルチェックを経たあとに締結されることになるとして、すぐの提出にはなりませんでしたが、自治会側と事業者との密な話し合いを経たうえでの総会での過半数可決で、本議会に提案されたものとなります。

協定書の有無については、早い段階であるほうが望ましいですが、自治会とコミュニケーションがとれている中での提案であるなら、市議会で否決するだけの理由となり得るでしょうか。

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※山下議員より、閉会中の継続審査をお願いしたいと申し出た場面からスタートします。

また、「公募が前提であるはずなのに、自治会が選んだ事業者の提案が優先されている」という声も定例会通してありましたが、誤認です。

私自身、廃校となった母校の利活用を待つ立場で、教育委員会に何度も通って話を聞いていますが、校舎の利活用検討委員会においては原則的に、①庁内における利活用、②自治会が提案する利活用、③公募、となっており、市役所内の各部署で利活用を聞いて、要望がなければ、民間の利活用を検討していきます。

地元自治会の要望がある場合には優先的に検討されますが、公募時と同程度に審査を行うものとの当局の説明がありました。
地域からも要望がない場合に公募となりますが、その際にも地域自治会の同意を得ることとなっています。

心配されるのは、今後、地域自治会から提案された案件が市議会の否決を受けて頓挫した場合に、市の公募した他の案件を、地域として受け入れることができるだろうかということです。

私が地域住民の立場と想像すれば、苦労して走り回って作った提案を市議会に否定されては、行政に対する不信から、公募に対して協力的になれない心情にもなりかねません。

市としては、自治会提案の内容で再度提案できるよう尽力していくことになると思いますが、前向きな努力がひとつずつ積み重なって、良い結果に結びつくことを期待したいと思います。