視察報告:恩納村 環境保全条例について

視察初日の午後は、恩納村へ伺いました。

沿岸部のリゾート開発が過熱し、地価や家賃の上昇から、地域に住む子育て世代など住みづらさに繋がり、住民が他の自治体に出ていくという悪循環は、宮古島市でもここ数年の課題となっています。

海岸線保全と利活用のための三つのルール

沖縄本島西海岸は60年代から国定公園に指定されてきましたが、それだけでは保全しきれない部分を、さらに村独自の条例で細かにルール作りをしてきたのが恩納村の「環境保全条例」と「景観むらづくり条例」です。

大まかには土地の利用区分を決めて、開発可能なエリアと、地域の人たちが静かに住まう生活のエリアを分けましょうというのが考え方の柱です。

さらに建物の高さや色などに関するルールが「景観むらづくり条例」。
自然公園法で指定する国定公園の土地区分と、村独自のふたつの条例で細やかに開発地域と住まいの地域をゾーニングしています。

規制強化か緩和か

かつて「環境保全条例」の制定をめざしたものの、開発が必要と考える側からの反対に合い、ついぞ成立させることのできなかった宮古島の経緯があります。

開発を抑制する条例に反発の声もあるのではないかと思っていましたが、不動産関係者からの不満はあるものの、地域に住まう人々からは、むしろもっと規制を求める声が多いようです。

たとえば、し尿などの汚泥は、うるま市にある処理施設に運ばれるようですが、ここでの受け入れが厳しい状況が続いていることもあり、村には、今後も新たなリゾート開発について抑制が求められていくようでした。

こうしてみていくと、沖縄県が検討している入域税・宿泊税など、観光業によるインフラのコスト負担を解消していけるような法定外目的税の制定も急がれるように思います。

海浜利用の質の担保

また、海浜利用に関するマリン事業者の過多についても、状況を少しお聞きすることができました。
すでに海浜利用条例を作っている恩納村は、すべての海岸を市の管理下において条例を適用しているようです。

海浜はもともと県の管轄ですが、その管理を村が引き受けるにあたって、とくに県からの予算措置もないよう。
それでは村の負担が大きくなるだけではと思うのですが、当時そうも言っていられない状況だったのかもしれません。

認定制度を利用して、良質なマリン事業者がやりやすく、質の低い事業者はやりにくい環境を作っていくというところが答えになるのは、宮古島市とも同じです。

住民にとっての生活環境や海浜の安全を守るためには、ときに踏み込んだ措置も必要という胆力の強さが、お話の端々に感じられました。

宮古島市で再び「環境保全条例」をとなると、どこの課が担当するのか、与野党議員比率からの難しさも依然のこるのですが、現在ある「景観条例」でどの程度のコントロールができているのかなど、現状を調べながら、可能なことを考えていきたいと思います。

過熱するリゾート開発による問題
・地価や家賃の上昇
・住民の流出

恩納村
国定公園]※国道沿い海側
・第二種特別区域 > 建築規制
 > 住宅も規制されるため苦情はある

環境保全条例]
[景観村づくり条例](色や高さ規制)
 ・主要道路 30m 準
  > 騒音被害がないように

*条例でできること
・指導○
・顧問弁護士への相談○
・事業者名の公表○

*現在の状況
・海側は国定公園第二種でほぼ建設できない
・山側の要望が増えている
 ・区域変更は5年に一回
  > これまで軽微なものは3か月に一回行われていた
   ≫ 電線や水道を引くにあたって問題はないか
   ≫ 地域自治会の意見

・開発審議会:JAなど各団体や役所OBなど 7~8名
・景観審議会:会長は専門家、有識者+団体

・汚泥処理 > うるま市にある >> 上限に近づいているので受け入れを減らしてほしい

・GreenFins
 イギリスから認定員を育てる指導員を派遣 >
 R2~はじまって、コロナでブランク
 R4~リスタート

*対処できずに困っているもの
 ・民泊(180日だれが数えているの?)
 ・海浜での質の低い事業者
  > 金銭のやり取りは村海浜条例で禁止されている