R5 宮古島市総務財政委員会 視察 二日目「佐賀県佐賀市:東よか干潟ビジターセンター『ひがさす』」

宮古島市総務財政委員会 視察 二日目は佐賀県へ。
自治体で環境に対する取り組み、保全と利用のバランスをうまく取れている事例を見に行きたいという思いがあり、いくつかの候補の中から、佐賀県の干潟ビジターセンター「ひがさす」を選びました。

宮古島の与那覇湾はラムサール条約登録の湿地ですが、保全・利用は市民が望んでいるようには進んでないのではないでしょうか。
議会でも継続して取り上げられる与那覇湾の保全問題があります。

ビジターセンターをつくって、市直営で運営している佐賀市
どんな仕組みをつかってセンターを作り、維持させているのか。
そのあたりを参考事例に聞きたいという思いで訪問しました。

どこか省庁の補助を活用しているのかと思えば、大きく市債を組んで予算措置したのだそう。
それを支えたのは地域の人たちの湿地と、そこにともにある文化を大事にしたいという思いだったようです。

ここをラムサール登録にと、地域のみなさんの働きかけがあって登録認証となってきました。

ボランティアガイドの育成も市が予算をつけていて、そう大きくはないとは話していましたが、地域の人たちの頑張りが活力になっていると感じました。

お話をうかがったのち、この季節、実際にシチメンソウの赤い花が咲く干潟のそばの散歩道を歩きましたが、これからの季節に向けて、泥をかきだして整備している人たちの姿がありました。

いかに地域のみなさんがモチベーションを持って、保全と利活用に取り組めるのか、その仕組みを考える行政であってほしいと思います。

「ひがさす」はこの時期、シチメンソウの赤い花が咲き広がって、観光客が増える時期なんだそうです。
合わせてこの時期は、熱気球を飛ばす大会「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」が行われます。

秋の佐賀は見どころが多くて、過ごしやすく、食事も美味しい、素晴らしい場所でした。

佐賀県佐賀市:東よか干潟ビジターセンター「ひがさす」

東よか干潟
・シギ・チドリがトライする渡りの中継地
クロツラヘラサギなど国際的な渡り鳥
有明海の固有種が多く生息、ワラスボ・ムツゴロウ・シチメンソウ、健全な生息環境が残っている
②干潟の生き物をとらえるための独自の魚法がいとなまれている、ノリ養殖(販売量日本一)

ラムサール条約
保全・再生をめざす
 自然環境を未来に継承する
 ・周辺環境の実態調査
  > 底生生物調査
  > 鳥類渡来状況調査
   ➜ 佐賀大学日本野鳥の会との連携
 ・干潟環境保全
  > 豪雨によるごみの漂着
  > 街づくり協議会(地域住民)企業ボランティアによる清掃
 ・環境変化への対応
  > 潟泥の堆積
  > 塩生生物シチメンソウの立ち枯れ

【ワイズユース】
・生活と産業の調和をはかり、現代社会に適用した賢明な利用により自然環境を持続的に活用
 ① 観光への利用
  > 紅葉するシチメンソウ
  > バードウォッチング
  > 干潟の風景を利用したイベント > ひがさす観光拠点に
 ② 産業への利活用
  > 有明海の特徴的な漁業
  > 野鳥のふんを肥料にし、ブランド米 : シギの恩返し

【交流・学習】
・ラムサールクラブ活動
 > 年間を通したプログラムで干潟の特徴を学び人材育成
・体験型講座
 > 顕微鏡を使ったけい藻観察
 > 泥団子づくり
 > クリークの淡水魚観察
 > 海岸ぷらゴミ万華鏡
 > 大人向けの学び
 > 小中学校の体験
 > 干潟の生き物観察
 > 野鳥観察

【ひがさす】
・ビジターセンター
 > 学習
 > 交流
 > 休憩
  *5億9000万円
  *地熱発電 - ウォーターサーバー
  *当初予想は10万人
・ふるさと学習のコースに
 > レクチャールーム、学校・NPOなど、利用が増加
 > がたスキー、がた散歩
 > 夕日の写真撮影会
  ⇒いかに体験させるか
・ボランティアガイド養成講座
 > 56件 2021人 
・姉妹湿地提携
 > アラスカ~東よか干潟~南北へ
 > モニタリングにおける協力

【「ひがさす」までの道のり】
昔から地元とゆかりが強い干潟
・「ひがさす」国内外400件以上の応募で
 ➜ 愛称があるのが大切
・市直営での運営
 ➜ 市長の思い入れが強い
 ➜ 漁業者との長い話し合い
 ➜ ラムサール登録への努力
・地域との協力
 ➜ 若者に展示をお願いする
 ➜ 協力団体がたくさんある(大切)
  > コツコツと地元の人との協力がセンターの重みに

Q. 年間支出 / 施設、ソフト面への財政措置もあるか?
A. ボランティアガイド養成などはそんなに大きな予算ではない

Q. 地元の人との協力を増やす工夫は?
A. ラムサール条約への登録は、地域からの声であがってきた。当初関わった7-8名がいまも関わっている。
 ・ボランティアガイド > 市が予算措置
 ・83歳~23歳(60~70代くらい)

Q. ハード面の財政措置は?
A. ふるさと納税環境省補助(1億1000円)・残りは市債(合併推進費)

Q. 干潟は時代とともに変わっていくのではないか。保全はどのようにされているか。
A. 干潟はかたくなっているということはある。一級河川からの堆積物はかきあげている。海苔の養殖をしているので、船が通れるように。海に関しては国交省農水省の管轄も入ることがある。国県市で連携して対応している。

Q. 教育委員会との連携はしているか。
A. 所管は環境部、学校へのPR、バスの補助金(施設見学)手続き関係は教育委員会がやっている。

Q. 地中熱 よくあるのか?
A. 佐賀県だけでみると、ここが初めに着手。冬:外気が冷たい。地中はあったかい。その寒暖差でエネルギーを得て、空調に使っている。

Q. 課題と感じていることはあるか
A. 交通アクセス、佐賀は平野で車社会のため公共交通機関が弱い。

Q. この場所はビジターセンター以前から賑わいがあったのか
A. 鳥はたくさんいるので、愛鳥家の間では知られた場所だった。シチメンソウも人気だったが、ビジターセンターができてから全国レベルでの認知度が高まった。