R5 水難事故防止対策に関する意見交換会


新型コロナウイルスが5類へ変更になって、事実上のアフターコロナとなってから、宮古島にも観光熱が戻ってきました。

その一方で沖縄全体でも水難事故が続いており、宮古島市でも例年を超える高い数値となっています。
持続可能な活動を心がける事業者がいる一方で、経験値の浅い事業者の参入も増え、マリンスポーツの安全性をどう担保していくか、行政も事業者も頭を悩ませる問題です。

マリン事業の経験のある砂川和也市議が呼びかけてくださって、市議、県議と、市・県、そしてマリン事業者の団体で意見交換会が行われました。

◆R5 水難事故防止対策に関する意見交換会

【趣旨】
今年に入ってから観光客が急増し、水難事故も例年を超える推移となっている。
関連機関と意見交換会を行い今後について検討する。

【現状】
直近で、
県:水難事故 48件/死亡事故 21人
市:水難事故 13件/死亡事故 5人
行政処分[指導・勧告] 21件(※過去最多)
水上安全条例にもとづく届出事業者数は2071(2019年)→3722(2023年)1.8倍増

【県警の見解】
[現在]届出制
届出をして適合していれば海浜を使用できる。受理にあたって、資格・欠陥事由など条件をつけることができるため、一定要件をつけることができる。
また、承認・把握の機会になっている。
行政指導において、指導 → 勧告 → 処分(行政命令) → 営業停止 → 廃業 と強制力はあるが、段階は踏むことになっている。
指導~勧告は公表しないが、処分以降は公表する。

[要望]許可制
禁止を前提とするため、導入はかなり厳しい。
・海の利用の禁止(海浜を自由に使うことは県条例にもある)
・事業者活動をいったんすべて禁止する必要も出てくる
・上位法である海難防止法でも禁止はされていない(法的根拠を持てない)

【マリン事業者】
・参加前に必ずメディカルチェックを受けさせている。
・既往症がある場合は健康診断書を提出
・60歳以上、提出できない場合は参加させない
AED設置している事業者もいるが、AEDは心肺停止の際のものなので、(水を飲んだなど)酸素が足りていない場合は、酸素が必要なので、各ショップに設備するようにさせている。
・ガイドのキャリアが低いケースで事故が多いと思われる。

【市議からの質問】
―― SUPなどで問題が多いように聞いているが、経験のない事業者の抑制はできるのか。
 
県警:
「難しい、職業の自由がある。『経験がないので職業の選択ができない』環境にしてしまうことに問題がないか。」
 
マリン事業者:
「ダイビング、シュノーケリングはインストラクター資格が必要で、保険にも加入している。SUPのインストラクターに資格は必要なく届出を出せばできる状態。救難資格だけでできてしまう。保険も年に一回の更新だが、失効している保険証をあたかも継続しているかのように所持している業者もいる。海保や県警には見回りの際にそこもチェックしてほしい。また、資格などもチェックしきれるのかというところ含みでルールを考えてほしい。」
「SUPで沖に流されたときに2馬力は必要。エンジンを積んだ案内ガイドを配置している業者もいる。」
「海保や、ライフセイバーの格好の人が声をかけると言うことを聞く人がほとんど。海のあれた日にマリン事業者が『危ないですよ』と言っても、逆に何様だと怒られる。中之島のような浅瀬はまだ良いが、白鳥岬のような自然海岸で沖に出ているのは、高速道路を徒歩で歩いているようなもの。高速道路を歩いている人は注意されるが、海ではそれができない。危険な状況のときに声をかける権利を付与してもらえるといちばんよい。本当は声をかけて止めたい。」
「条例を変えるとなると、県と話していく必要があるので、一地域の業者たちだけではテーブルにつけないのではないか。県全体のマリン事業者の組織を作るか、あるいは市単位の条例で対応していくしかないのか。マリン関係の組合も増えてきたので、そろそろ大枠での形をつくってほしい。」
「SUPカヤック向けにOMSBなどもできているが、まだまだ浸透していないし、沖縄に適合した仕組みを作る必要がある。」
 
―― 半グレの対応はどうなっているか。
 
県警:
「半グレという定義はないため、半グレだから規制するということはできない。半グレかどうかに照合して判断するというより、警察にあがってきた情報から問題があるかどうかを総合的に判断するしかない。ただ、暴対法にもとづいて、暴力団との関係がある場合には、対処している。」
 
―― 半グレをどう判断するのか?
 
マリン事業者:
「高圧的であるかなど、言葉が荒いだけならまだしも、胸倉をつかんでくるようなケースもある。」
 
県警:
「そのようなケースは傷害にあたるので、通報してほしい。また撮影しておくのも手段のひとつ。」
 
―― 水上安全条例などあるが、宮古島市は海水浴場でもないのに、水上バイク条例で遊泳者を守るとして立て看板を立てて泳いで良いような表現をしているが、泳いでいいとはなっていないはず。県の見解は。
 
県警:
「海は基本どこでも泳いでいい。禁止ということはない。ただし海水浴場以外の遊泳は自己責任ということ。事故の割合は、自然海岸 75%、海水浴場 6%。監視が行き届かない場所のほうが危険。」
 
―― 新城海岸はどうか、市はどう対処しようと考えているか
 
宮古島市
「新城海岸は県の管轄なので、県にお答えをお願いしたい。」
 
沖縄県担当課:
「何度か話し合いをして調整している。われわれの海岸管理条例の規則では、護岸や農地の保全として問題があるときに対応するものとなっているので、海浜で客引きする行為などに対処できるものはない。」
宮古島市が県から管理を引き取って、今後管理していくというところで調整をしていると思う。」
 
―― 保全は対処するけれど、商業的に海浜を利用する行為に対して、県はなにもできないということか。
 
沖縄県担当課:
「基本的にはできないと考えている。」
 
―― 海岸は基本県の管理である。吉野海岸も同じ状況だったが、市の管理に入ると規制がかかり、今度は事業者が新城海岸に大移動している。それに対応して新城海岸を市の管理のもとにおくとなると、いたちごっこになってしまい、最終的には宮古島の海岸全部を宮古島市が管理すればいいということになる。そのための予算もかかるので、県が海浜での商業行為にまったく関与しないとなると、本来県の管理のものなのに、市だけが負担を負うことになる。予算措置など、本来できることがあるのではないか。
 
県警:
海浜での過度な商業行為に対処した過去事例はないですか?」
 
沖縄県担当課:
「ないと思う」
 
県警:
「H6に恩納村で県は対処している。できないということはないと思う。できないなら、恩納村と何が違うのか、説明できないといけないと思う。」
 
マリン事業者
「レンタカーとの連携も必要だと思う。たとえばライフジャケットをレンタカーショップに準備しておいて、一声かけるだけでも効果があると思う。
また、マリン事業者が駐車場を使えないということも避けてほしい。浜での営業行為は基本違反であるので別だが、マリン事業者が自分のお客さんを連れて浜に来ることもある。シュノーケリングするのにガイドがいたほうがずっと安全だし、浜にいる事業者が監視や救助を行ったりするため、すべて排除というようなことではないほうが良い。」

同じマリンスポーツを扱う事業者でも、経験がある・お客さんに対してガイドの数や備品の対応が十分であるなど、安全性の担保を含めた質の違いがあります。

マリンスポーツを楽しもうと海浜を訪れる観光客にしてみれば、良いマリン事業者を選ぶ方法が分からないというのが現状かもしれません。
認証制度を積極的に利用し、掲示していくことで、観光客が良い事業者を選べる機会を作っていくことが大切ですね。

市や観光協会、または協力団体でウェブサイトを運営して、サイトに登録する業者を選定しながら、資格や認証制度を表示して比較できるようにすると、より良いと思いました。選ばれるには「目につくこと」が大切なので、優良事業者のみを登録しているサイトとしてブランディングしていきながら、SNSでの広報も担っていくと、より優良事業者が選ばれやすくなっていくかもしれません。
検索上位はコンテンツ更新が新鮮でありつづけることが一要素なので、オウンドメディア対応もあるとなおいいですね。

民間にいたらぜひやりたいんだけどな。