R5.8 離島患者等通院費支援:意見交換会

宮古島のような離島ではできない高度な医療を必要とする治療にかかる場合などに、渡航費や宿泊費を支援する「離島患者等通院費支援」制度が、昨年から沖縄県の事業として予算がつきました。

それまでは各市町村の予算でやっていたのですが、県と国から補助が9割ついて、市の負担は1割になっています。

この機会にぜひ内容を拡充していただきたいと、昨年から継続して担当課と話し合いを続けていますが、変更となったのは「渡航回数がプラス1回増えた」といったところで、残念ながら期待する内容にはなっていません。

また、医療にかかるため必要な渡航に関しては、当事者家族の細かな手間や負担も多いため、制度の仕組みを改善することで解消できることもあるのではないかと問題提起しています。

9月議会を前に、渡航して医療にかかる機会の多い市民の方と、行政との意見交換が行われました。

【離島患者等通院費支援事業】(宮古島市
航空費:13000円
宿泊費:8000円
付添人:一人まで
※年3回(放射線治療は4回)/上限

・がん、難病
不妊治療
渡航費助成対象者
 > ストレッチャー、酸素ボンベの貸し出し

【がん・難病患者と家族の会】
渡航費回数について
・他自治体は回数無制限のところもある
・治療を諦めさせないためにも無制限にしてほしい

回答:
<健康増進課>
 ➜実績は1045人、予算は2000万
 ➜石垣の3倍程度あり、しっかりやっている認識
 ➜確かに市の負担は1割だが実質半分は負担する形になっている。(※どのような背景がある?要確認)

②家賃の減免について
 ・減免できるのか、相談窓口は?
 ・民間アパートへの支援や相談窓口は
  ➜担当は建設課(※市営住宅の減免措置あります)

③医療へのアクセス
 ・ひとり暮らしの方への民生委員、保健師さんの訪問など医療へ繋ぐ体制や相談窓口は
 ・交通弱者の方の通院(介護以外)
 ・ソーシャルワーカーなど相談員を設置した総合的な相談支援
 ・ヤングケアラーの支援、学校と医療、福祉の連携は
 ➜ 地域総括支援センターでやっている
 ➜ 徳洲会など送迎のある医療機関もある

渡航医療費支援について
 ・治療後5年経過すると対象外となるが、医師が必要と認めた場合は対象としてほしい
 ・医師意見書、医師に書いてほしいことを的確に伝える仕組み
 <健康増進課>
 ➜チェック項目を設け、重要なことはチェックがついているかで判断できるよう意見書を改定しました

⑤陳情について
 ・下記ふたつの陳情が市議会でも通っています。経過は?
  > がん治療の患者にウィッグ助成を
   ➜県と調整中
  > 若年がん患者の在宅療養支援助成制度
   ➜介護保険で対応できない例があるか確認します
 
【医療ケア児の親たちの会】

①子どもの入院のため渡航し、小児集中治療室へ入る際の付添いや、一日一回の面談を医師から求められていたが、市からは「原則、子どもと二人の宿泊」と言われた。詳細な状況を伝えて付添人の助成をもらえたが、親は必要があって付き添う。合理的な支給をお願いしたい。
また、兄弟と親の二人がかりで治療が必要な子を介助するケースもある。付添人の数も検討してほしい。
 <健康増進課>
 ➜出せるような方向で努力していく。
 *窓口担当の判断では属人性が高くなり、また「なぜその判断か」の責任負担まで負わせることになる。ガイドラインの策定が必要ではないか。

宮古島市内で利用できる移動支援・居宅介護サービスが、島外では利用できない。また、公共機関の利用が困難なケースがあるので、レンタカー補助などあると望ましい。
 <障がい福祉課>
 ➜移動支援サービス等について、沖縄本島の事業者と契約すれば可能だが、伝手がなく、もしサービス提供できそうな事業者がいれば教えてもらえるとありがたい。

③島内医療機関と連携して遠隔ネットワーク構築に尽力してほしい。市から、介入や調整は可能か。
 例)大阪の医師と携帯アプリやビデオ通話でつながって経過観察をおこない、主治医と共有する。5分程度の定期的なオンライン診察でも、慢性化していた発作がおさまるなどの効果がみられた。
 <障がい福祉課>
 ➜島内でできる治療は、できない治療は?など情報を整理する必要があるかもしれない。

⑤航空路助成について、他府県にも対応し、全額補助をしてほしいというのが本音。

⑥診断書、航空会社へ提出している
 ・どういった医療処置がある可能性があるよと事前に提出を求められる
 ・医療機器の貸し出し(医療機器処方箋)主治医が書いて出さないといけない
  > 5000円くらい : 費用補助は可能か

⑦二人以上の付添者も認めてほしい

⑧長期入院付添い:自分の食事や、医療者がやることを親がやることも。疲労は限界に達する。
 宮古島市にある入院者意思疎通支援を島外でも使えるようにしてほしい。

時間に対して質問が多かったのもあるかもしれませんが、進展が期待できる項目は少ないように感じました。

県が渡航費支援に予算をあてたことは、より拡充しやすくする意図もあるものと思います。
引き続き細かい計算をしながら、可能な拡充ができるように求めていきたいと考えています。
 

少し嬉しい報告もありました。
離島患者等通院費支援制度に申請をする際、医師が渡航しての医療を必要だと判断したことを記入しなければいけないのですが、これまで、記入内容が不足していると窓口で書き直しをお願いされるケースがありました。

患者や家族からすると、そこは当然の前提のつもりですが、支援を判断するのは県になるため、窓口となる市としては要件を満たすように書いてほしい...。
何度も病院に行くことも大変と申請自体を諦めてしまう方の声も聞いていました。

すれ違いをなくすために、意見書に注意文言を記載できないだろうか。文言に蛍光ペンで線を引いて渡せば、医師側の記入不足を減らせるし、申請者になぜと問われた時に窓口の方も説明がしやすくなります。

1年前に会派で県の担当課への聞き取りをおこなった時に、そのことをお伝えしていたのですが、今回、市担当課の説明では意見書に変更があり、渡航・付添人の必要性についてチェック項目が追加になったと説明がありました。

項目にチェックがあれば、窓口担当も渡航と付添人の必要性の確認がより確実にできます。
さまざまあった意見の一つとして、総合的に判断して今回の改訂となったものと思いますが、お伝えしておいて良かったと思いました。
運用していく中で、市民と窓口とのすれ違いの例が減っていくといいなと思います。


 
▼進められるよう注視していくもの

渡航費助成 > 県補助が付いてどの程度の負担軽減ができたか、また拡充可能な予算幅はどの程度あるか。実績の精査。
 ・渡航回数
 ・治療5年後以降の通院
 ・二人以上の付添い人

✓ 若年がん患者の在宅療養支援助成制度 > 検討経過を確認する
✓ 入院する子の付添いでひとりで宿泊する親が付添人と認定されるか > 担当が変わっても認定されるようガイドライン
沖縄本島での移動支援・居宅介護サービスを使える仕組み > 市民団体側から対応できそうな福祉事業者の情報を提供する