サトウキビ製糖工場への意見交換会

城辺地区の超党派市議で製糖工場への意見交換に参加しました。

令和4年の前半は長雨が降り続いて、伊良部島のサトウキビの刈取りが5月までに終わらず、国の交付金期限に間に合わないという事態となりました。

複数の国会議員の聞き取りを通して、農水省からは今回に限り対応するとの回答を得た昨年の夏。
来年に向けて、今年まだ年を超えない内から製糖工場を稼働させて、早期対応をめざす宮古製糖工場ですが、同一社内で別工場となる伊良部製糖工場の状況はどうかと心配の声があって、今回の意見交換の場となりました。

本来なら伊良部工場を整備し、キャパシティーを増やして対応できると理想的なところですが、以前より、伊良部で過多となった分は宮古製糖工場に運び込んで対処したほうが良いのではないかという意見もあり、対応可能なものなのかお話をうかがいました。

詳細にお聞きすると、様々な課題が起こってくることが分かります。

伊良部島:サトウキビ収穫量 > 58,000t / 工場処理能力 > 500t(日)×100日 = 500,000t
 ➜工場受け入れ量に対して余剰となった8,000t を宮古製糖(友利)で処理が可能か?
  >> 余剰量を、宮古本島分の処理の、①前 ②毎日 ③後 のいずれでやるか?
  >> ハーベスター協会、トラクター組合、サトウキビ生産組合など各団体との打ち合わせと合意も必要。

宮古製糖:
 能力的には受け入れ可能。
 各ライン強化も継続して取り組んでいく。
 ・Aライン(油圧圧搾 4-5年目、比較的新しい:能力 900t > 1500t / 日 設備投資の必要性)
 ・Bライン(5年計画 合理化 13000t > 18000t / 日 設備投資の必要性)

工程の課題
 電算システムの改修
 制度への対応 > 刈り取りに紐づき交付要件が変わるため、要調整

インフラの課題
 ハーベスター
  > 地域によって不足。申請が下りにくくなっている。
  > 中型ハーベスターを導入の際は、受益地区を変更する必要がある。
  > 小型より価格があがる。

単純に受け入れ能力だけ見れば可能でも、インフラの課題が大きいことに気が付きます。
橋がかかったのでトラックで伊良部島から宮古島へ運び込めるでしょうと思いがちですが、余剰分対応で一日17台のトラックが行き交う程度ならまだ良いですが、今後、工場一本化というような話になっていったとしたら、交通混雑や橋の耐性の問題は出てくるかもしれません。

また、個人的に気になるのは橋が使えないような事態が起きた時に、影響が大きいのではないかという懸念があります。

さらに電算システムや交付金制度の変更です。
小さな畑は今でも手刈りで行うケースは多く、またハーベスターの規模でも微妙に異なるよう。
こういった細かいところで制度の調整が発生するのですね。

伊良部島から宮古島の砂川にある製糖工場へ運び込むとなると、燃料代もかさみます。
沖縄本島のゆがふ製糖では最大100km距離の運び込みもあるようで、工場がある程度負担をするのでしょうか。
各地域の事情に驚かされます。

場合によって伊良部地域まで他の地域のハーベスターやトラクターが遠征して手伝う必要性も出てきてしまい、各組合団体の納得と協力は欠かせないものです。

宮古島市には三つの製糖工場があり、県内有数のサトウキビ産地である所以ですが、他の地域からすると特殊かもしれません。
その中で、同一会社内であるから、伊良部と宮古の二つの工場を一本化してはという意見もあるようです。
農水省もその意向はあるだろうという中で、維持・増産を目指すことは原則で、ややもすれば縮小となるような状況での一本化はしないものと思われます。

話を聞くほど、細かく厳しい条件の中で調整を繰り返し、サトウキビ農家の最大限の利益になるように努力しているのだということが伝わってきました。

調整中という話もあり、あえて曖昧に記した箇所もありますが、私たちとして何ができるだろうかということも考えさせられる意見交換の場でした。
帰りには、市議要請という形で国にお願いできることがあってもいいのかもしれないという話をしながら。

今回の意見交換の場は、農家の声を身近に聞いている西里よしあき議員が調整くださいました。
二週間前からの調整おつかれさまでした^^