宮古島市~基隆市 交流促進訪問:2日目

姉妹都市基隆を訪れる講習促進訪問の旅、二日目の午前は台琉ヨットレースの出発地、基隆市北側の小さな港へ。

ヨットの保険会社を経営する周哲男社長のクルーザーで、基隆ヨットレースのコースを案内いただきました。

台琉ヨットレースは、当初は花連港をスタート地に始まったのですが、毎年開催にはなかなか繋げられなかったところ、基隆の港で開催する機会を得たことから、毎年開催も可能な環境だと感じて、以降は基隆を起点にヨットレースを続けているのだそうです。

ヨットレース折り返しの基隆島付近は、海風と陸風が交わる場所のようで、風が凪ぐのだといいます。
風を切って進むヨット泣かせのポイントなのだそう。
ヨットレースで好成績をとるには、海と陸の地形を熟知する必要もありそうですね。

基隆市は海産物の豊かな街です。
お昼も海の幸のコースで、魚介類のスープに海老など刺身の盛り合わせ、オイスターソース効いたの甘辛い練物の揚げもの、白身魚の清蒸などなど、魚介類の豊富さもそうですが、料理のレパートリーにも感服しました。

同じ海に面しながら、地域でこれだけ豊富な料理を食べる環境があること。
取り決めされてきた政治的な海の領域のこと。
美味しい中に思うこともたくさんあるランチの時間でした。

ホテルに戻って、次の予定まではそれぞれの時間。
ランチの乾杯合戦をまぬがれたテーブルにいたので、体力も残っていて、昼間の暑い時間でしたが街歩きに出かけました。

びっくりするような古い建物に、露天の飲食店、金具店、医院、洋服店... たくさんの個人商店がひしめき合う街です。
古いうつわに活気があふれているような、不思議な都市空間でした。

基隆市役所から一つ東に入った義二路という通りには、テイクアウトのお茶屋さんが軒を連ねる一帯があります。
タピオカドリンクがメインのお店もあれば、フルーティーな飲み物のラインナップのお店も。

山を背に湾にひらけた基隆は、宮古島より蒸し暑さを感じる街です。
タピオカやタロイモをたっぷり使った、どっしり甘い飲み物も試したかったのですが、最終的に買ったのはあっさりした飲み物でした。

台湾では冬瓜(トウガン)はフルーツの扱いのようで、冬瓜ジュースも主流のメニューです。
また、前日には青グァバと緑茶のドリンクを買ったのですが、とても美味しかったです。

お店によって氷の量や、甘さの度合いを選ぶことができます。
甘さは3割程度(無糖の一つ上)が爽やかで美味しく感じました。

この日は迷いに迷って、バラと塩の風味をつけたクリームがのった緑茶を買いました。
「玫瑰花」は中国茶では定番のバラ科ハマナスの花のつぼみです。
バラの風味がしたかはともかく、塩味の効いたクリームは美味しかったです。

お店のお兄さんと言葉が通じず、英語で会話しました。
メニューをそのまま読み上げると、少し困ったように「ブラックティーは紅茶、グリンティーは緑茶、このメニューはどちらかを選ぶんだよ」と。

日本人が中華圏に旅行に来ると、お互い言葉が通じないので結局英語で話すというのは、よくあるエピソードなのだそうです。
今度は語学も勉強してから行きたいです。

夕方は中元祭にかけつけた日本や韓国の自治体の皆さんをもてなす懇親会が開かれました。

広島県呉市熊本県八代市、韓国から尚州市の市長や、副市長が参加されていました。
呉市八代市ともに山を背に湾に面していて、基隆市に雰囲気が似ていますね。
短い時間でしたが、それぞれお会いする機会を持てて良かったです。

懇親会のあと、ざあっと夕方の雨が降りましたが、すぐに止んで、雨上がりの道をみんなで歩いて中元祭の会場へ向かいました。

台湾と日本は時差が一時間ありますが、宮古八重山はより台湾と近い緯度にあります。
東京で夏の夜7時は、宮古島ではまだまだ明るい。
夜の8時になるとようやく夜らしくなってきます。

基隆の夜7時の空は、夜の色になっています。
本当は基隆時間の方が、宮古島の空の時間に近いんだろうなと、暮れゆく基隆港の空を見て思いました。

中元祭は日本の旧盆にあたる期間に行われるお祭りで、基隆でも同じように先祖の霊を迎えておもてなしをします。
沖縄のウチカビ(打紙)に似たような冥銭を燃やしたりもするようです。

ガイドの方の説明では、基隆の中元祭りは日本や沖縄のお盆と異なるところがあって、子孫がいない霊に対してもおもてなしするのだそう。

また、お盆とは言っても、おもてなしの仕方はまったく違うものです。
基隆の中元祭では、姓名ごとに行列をなして通りを練り歩き、見せ場となる地点でダンスなど芸を披露します。
行列を先導するのは、電球や花などでデコレーションを施した派手なトラック。

大まじめのようで、ユーモアもあってとても楽しかったです。

今年の中元祭は、次期総統選を控える台湾の大きな行事ということで、各党候補者も駆けつけたということでした。
伝統的な地域のお祭りでもあり、政治的なアピールをする華やかな場でもあるのですね。
宮古島という小さな市ですが、隣国からの来賓として招いていただいたことは畏れ多くもあり、また賑やかしとして大切な役割だったのかしらと考えたりしました。

行列の最後を飾ったのは、基隆市の市議のみなさん。
市民と市政の一体感を感じられる瞬間でもありました。

一日二日の来賓では、全部は見えないものもあると思いますが、台湾に対して理解が深まったというよりは、知らないことがたくさんある、もっと知りたいと感じる旅になりました。

基隆市訪問を通して、基隆のみなさんのおもてなしの心の篤さに驚かされ、またこういう積み重ねが人の縁を広げていくのだなあと感じさせられました。

沖縄に帰ってきて台湾への旅を報告すると、沖縄と台湾の縁についての話など教えてもらう機会もあって、近隣の地域との交流を深めて広げていく可能性を感じさせられ、本当に貴重な訪問旅行となりました。