入院日記 4日目

造血幹細胞移植のための入院、いよいよ今日は細胞採取の日です。

朝9時に採血室!へ行くようにと言われていて、早起きしてあれやこれやと準備を整えました。

造血幹細胞というのは血液の中にあり、採血をして細胞を取り出し、血液はその後、体に戻すのだそうです。
そのため両腕を管でつないだまま数時間過ごさなければいけません。

事前に「お茶はペットボトルとストローを持っていけば看護師さんが飲ませてくれる」「採取中の時間つぶしに映画など観る人が多い」などの情報を得ていたため、直前に院内のコンビニへ寄ったりして、もう準備万端で臨んだのでした。

聞いていた話では、必要な造血幹細胞が採れるまで二日かかる人が多いそうです。
私も二日を覚悟していましたが、採取は3時間半ほど終わりました。
早い方だそうです。

それでも後半は、10分おきに時計を見る始末。
用意していた映画が2時間とたたずに終わってしまったため、あとは寝ていようと思ったのが、腕の痛みや鼻のむずがゆさなど些細なことがやたらと気になって、長編映画を選ばなかったことをこれほど後悔したのは初めてでした。

視聴した映画は、「ローマ」という1970年代のメキシコシティを舞台にした家族の物語でした。
もう少し明るいタッチの作品が良かったような気もしましたが、うかつにも終盤の海のシーンでは泣きそうになりました。

命にかかることでも、本音では、運命に向き合うことにおびえてしまうことがある。
人生はわりあい長いし、楽観的でいるほうが、運命を背負える。
大切なのは、長い道のりを歩き続けること。
無理せず、しかし着実に歩き続けること。
そのことだけが、大切な人といる時間を引き延ばしてくれる。

採取後は食事も、院内の散歩も変わらずできましたが、疲れやすいような感じが続きました。

翌日朝の退院を午後にのばしてもらって、洗濯、ベット周辺の片付け、診断書の支払いなど何かと忙しい朝。
前日夜までにホテルと飛行機の予約を入れて、午後からは空港近くのホテルへ。
大阪環状線がすごく混んで大変でした。

ホテルの窓から朝の光を受ける街並みを見ながら、島へ帰ることが少し寂しいような。
入院前後ふくめ長い旅でした。

提供判断前に、病院から送られてきた移植を説明するパンフレットを読んで、当事者の声が大切であることをじんわりと感じました。
ドナー提供は身近な血縁者であることも多く、提供に迷う人は少ないのではないかと思いますが、それでも戸惑いや不安はあるかもしれません。

急ぎ書いていて参考にならないかもしれませんが、不安に思う誰かが目にするときに、少しばかりの安心や共感があれば嬉しいです。