視聴メモ:不安の正体~精神障害者グループホームと地域~

今日は未来創造センターで宮古島地域精神医療保健福祉研究会主催の上映会がありました。

上映作品は「不安の正体~精神障害者グループホームと地域~」というドキュメンタリー。
かつては精神病棟で治療を受けたあと戻る場所がないケースも少なくないことから、共同ホームとして始まり、1992年には精神障がい者向けグループホームが制度化されます。

一方で、グループホームが建てられる地域では反対運動が起こる事例もあり、受け入れる側の社会の理解が進んでいない現状があります。

実際に地域の反対にあっている事例と、グループホームを利用しながら社会生活への復帰を目指す元精神障害者の方々を追いながら、精神障害者が地域に生きることを考えていきます。

専門家は間違った情報に基づく理解不足を指摘しますが、実際の説明会であがった意見を聞くと、正しい情報が伝わっていかない空気を感じます。
説明会をするほど反対派の結束が強まっていく、と関係者は頭を悩ませます。

連携というけれど身内だけの内向き連携で、私たちの方を見ていない、というような意見がありました。
この言葉がキツい言葉だったと言う方がいました。

外側の社会に向き合っていく躊躇や恐怖心が、当事者の中にもあるのかもしれません。
しかしその躊躇や恐怖心とも闘い、乗り越えなければいけないのなら、弱者が社会に理解してもらうとは、いかに厳しいことなのでしょうか。

最終的には、自分の外側の世界に向き合っていく強さが必要だとしても、そこには理解者や、支えてくれる他者の存在が欠かせないように思います。

また、辛辣な言葉が飛び交う説明会で、「私は身体障害者を受け入れる地域であるなら、そういう地域で生きていきたい」という意見を言われた方がいて、とても印象に残りました。

どのような社会に向かっていくべきか? について意見を発していく大切さを改めて思います。
私に何ができるのだろう? と考えた時に、似たような場面で、正しい理解に基づきながら、ともに生きる社会を目指す言葉を選んでいけるか? そういうことが大切なのではないかと思いました。

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後半は、当事者と支援者によるトークセッションを収録した映像で視聴しました。

重たい上映内容をそれぞれの視点を通しながら振り返りができて、複雑な感情を整理できるようで、とても良かったです。

「一人の人間として見てほしい」「どうすれば理解してもらえるんですか」など、苦しい言葉も並びました。
一方で、宮古島ではグループホームを建てるときに、そのような反発があったか?という質問には「聞いたことない」と、建設にあたって心を痛めるような差別が起こっているわけではないようで、安心しました。

建設時の説明会が必要か?という質問については、必要ないという考え方もあるようですが、トークセッションの中では、地域から「どんな協力ができるか知りたい」と求められたケースなど紹介があり、概ね「可能なら説明した方が良い」という意見が多かったかなと思います。

看護学校の講師という立場から「精神を希望する学生が増えている。病棟や施設ではなくて、退院促進、共生社会づくりで働きたい」という話もあり、希望も感じさせられました。

当事者と、そうでない人たちとの対話する場が必要ではないかということは、共通した意見だったと思います。

まとめとして、「当事者としてできることは、できるだけ入院ではなく地域で生活する、生活する中で周囲の人と関わらせてくれる良いきっかけになる。自分自身にできる最大限のことをしていると思う」という言葉があって、とても胸に響きました。

地域で生活することを選ぶ中で、大変なことも傷付くこともあると思いますが、出会いもあり嬉しい瞬間もあり、プラスマイナスして、プラスになっているようだといいな、そのためにはほんの少しのことでも、元気づけてくれる、支えてくれる周囲の存在もとても大切なんじゃないかと思いました。

一人一人が、そういうふとした瞬間に元気づけられる他者になれるといいですね。
十六日祭の午前で、参加は難しいかな? と思っていたのですが、買い出しついでに参加して本当に良かったです。