メモ:全島避難と「軍民分離の原則」

沖縄タイムス論壇に記事を投稿しまして、先日掲載してくださいました。

民間空港を軍事利用する動きが強まっており、懸念していた中で、「みんなで新聞投稿をしよう」とチャレンジしたものです。

記者の方から確認のお電話があって、しばらく掲載がなかったので半ば諦めてたのですが、ある朝、寝起きにスマートフォンに知人から「読んだよ」と通知が入ってて気が付きました。

ところで記者の方が気にされていたのは、元陸上幕僚長の発言でした。
これまでいろいろなところで取り上げているので、都度確認はしているのですが、この時も言われて急に不安になって、元の動画を当たったりしました。

投書では要約していましたが、発言内容を書き起こししてみます。

「国際条約上、ジュネーブ条約というのがありまして、有事になった時に、軍人扱いの自衛隊と一緒に、住民がいることはできないんです。仮に住民の方々と、自衛隊員が一緒にいると、そこにいた住民はジュネーブ条約上守られない。適用されなくなりますので、逆に殺されても文句が言えないんです。
住民と、有事の時の自衛隊とはやっぱり離れなきゃいけない」
シンポジウム2023「八重山群島の住民保護計画」元陸上幕僚長と3市町長が周辺有事に備え、熱いパネルディスカッションを展開! - YouTube (1:29:50)

ジュネーブ条約追加議定書(i)第四十八条 基本原則
紛争当事者は、文民たる住民及び民用物を尊重し及び保護することを確保するため、文民たる住民と戦闘員とを、また、民用物と軍事目標とを常に区別し、及び軍事目標のみを軍事行動の対象とする。

いつも思うのは、それを配備後に言うのは、あんまりではないかということです。

備前に「有事の際は、ジュネーヴ条約が適用されるため、軍と民がひとつの島にいることはできない。よって島の住民は、ミサイル部隊がこの島に配備され、有事に展開する以上は、島から出ていかなければならない」と説明があったら、島の皆さんは配備を受け入れたでしょうか。

そうではありません。
沖縄防衛局は確かに「ミサイルはお守り代わり」と言ったのです。
ミサイルがあるから、抑止になり、島は守られると説明されてきたから、島の住民は配備を受け入れてきたのです。

けれども実はミサイルを受け入れた以上は、島を出ていかざるを得ない。

そして今、「国民保護」を名目として自衛隊配備が進んでいますが、それさえも有事の際には「軍民分離の原則」からできないことかもしれません。

ジュネーブ条約追加議定書(i)第六十七条
「任務の遂行に充てられる要員が紛争の間他のいかなる軍事上の任務も遂行しないこと」

甚だ疑問である。自衛隊の使用が想定される港湾や空港は軍事目標とみなされる恐れがあり、避難のための利用には危険が伴うからだ。
 堀井巌外務副大臣は国会で国際法の一般的な解釈として「軍事作戦に利用された民間施設は法的に軍事目標とみなされるという解釈でいいか」と問われ「基本的にその通り」と答えた。民間施設でも普段から軍事利用されれば危険極まりない場所になるのだ。
 自衛隊の行動と国民保護措置を兼ねるのは、ジュネーブ諸条約で定める「軍民分離の原則」とも矛盾する。戦時中であっても民間人が巻き込まれないよう、戦闘員と民間人、軍事目標と民間施設を徹底的に区別しなければならない。
 この点について政府も与那国町も正面から説明していない。
<社説>重要湿地に与那国新港 自然と軍備計画共存せず - 琉球新報デジタル

八重山群島の住民保護計画~周辺有事に備えて~」をテーマにしたシンポジウム(主催・八重山日報社、共催・八重山市町会)が18日、石垣市内のホテルで開かれ、八重山3市町の首長や有識者が登壇した。台湾有事などの勃発に備え、台湾に近い八重山の離島住民が早期に島外避難するための体制構築を訴えた。沖縄戦の教訓を念頭に、戦時に島内で自衛隊と住民が混在する状況を回避すべきとの意見も出た。
- 省略 -
糸数健一町長は「軍民混在」で多大な犠牲者が出た沖縄戦に言及し「軍人と民間人が、ごちゃごちゃになる状況はつくるべきではない」と強調。「一夜にして町民と実力部隊が入れ替わるような体制」のためにインフラ整備が必要とした。
早期の島外避難体制を 有事の〝軍民混在〟回避 シンポで住民保護議論 |

あとから何度も検索してて大変なので、まとめてみました。