私の家の300メートル先にある風景

2月4日は、陸上自衛隊保良訓練場での100名超規模の訓練がありました。

工事車両の出入りがある日は訓練場ゲート前で抗議活動が続けられています。
土曜日、資材撤去の工事車両が出入りする中、並行して訓練が行われていました。

このあたりは採石会社が鉱山権をかぶせて採石をしてきましたが、積み上げた残土が県道わきに残り、現在はその頂上が陸上自衛隊ミサイル部隊の訓練の場となっています。

保良集落の坂を上り切ったあたりからも、ボタ山の訓練風景を見ることができます。

訓練場内には分散してミサイル車両を配置。弾薬庫の脇にも、誘導弾車両。
実際にミサイルを打つ際は、このように窪地や丘の影に隠れて撃つのだそうです。

事前説明会の際に「保良訓練場から撃つのですか」と質問したところ、沖縄防衛局は、基本的には場外に出て、ひと気のないところで撃つと回答されていました。

防衛省は「市街地を避けて撃つ」という説明でした。「保良や七又は市街地に含まれますか?」と聞くと、長い沈黙があっただけで、回答いただけませんでした。

中国のミサイルはピンポイントで狙えるので、被害は基地や空港・港湾に限り、民間の被害は大きくないとする研究機関の見解もありますが、誘導弾車両が敷地外に出て軍事展開する以上、民間被害はまぬがれません。

写真は03式地対空誘導弾です。

宮古島に配備のミサイルはこのほか「12式地対艦誘導弾」があり、この12式地対艦誘導弾の改良型が、国や防衛省が開発を進めている「反撃能力(敵基地攻撃能力 / スタンド・オフ・ミサイル)」です。

改良型12式地対艦誘導弾の配備先は明らかにされていませんが、報道で名称が出ているのは、うるま市の勝連分屯地、奄美大島です。

もちろん宮古・石垣も、従来型12式地対艦誘導弾を置き替えるのではないかと、配備先として名前を挙げるメディアもあります。

訓練場北側は集落となっています。
災害時の避難施設となる保良公民館は、弾薬庫までは500メートルほどでしょうか。

災害時ここが避難施設で問題ないのでしょうか。市と自衛隊で開催した防災講演会で、講演をされた防衛省関係者の方に質問をしましたら、「弾薬庫は爆発しません」とのことでした。

防衛省通達では、弾薬庫火災時に自衛隊員は600メートル退避することとなっています。
つまり防衛省内では火災を想定した通達が出されているのです。

その一方で、近隣住民には火災を想定しないとするのでは納得がいきません。そこで通達の存在についてうかがうと、進行の方から「そういうことは書面で」と言われてしまいました。

今でも保良公民館が災害時の避難施設として適当か、疑問があります。

私の家は訓練場に近い場所にあり、集落側ゲートまでは160メートル、弾薬庫までは300メートルです。

宮古島のほとんどの人が目にすることはないかもしれませんが、これが今、私たちの住む宮古島にある風景です。

ある時、ゲート前を通りかかった近隣集落の方が、「自分たちには何の情報もこない、何があるのか、どんなことをしているのか教えてほしい」と言っていたと聞きました。

こういう写真展を開催できると、この島で起こっていることとして、もう少し関心をもってくれるでしょうか。

台湾有事として、さらなる軍備増強が進むことが予測される中に宮古島があるということ。その風景が生活圏のすぐ隣にあるということ。

今後、この小さな離島において強まる配備について、多くの人の考えるきっかけになればと思います。
 
 
追記)
SNSで「民家手前で野外訓練するわけがないので虚偽」とのコメントを頂きました。
保良訓練場は私の家から160メートルほどにあり、弾薬庫は300メートルほどです。
もっとも近い民家は弾薬庫から250メートル。
(近隣民家の数値は防衛省との政府交渉の際に、文書でいただいた回答にもあります)

「野外訓練」については、事前説明会で「体力づくり程度のもの」という趣旨の説明がありましたが、開設後は空砲による訓練が行われました。
沖縄防衛局へ申入れをして、一時、中断されていましたが、2023年夏に再度説明会を行い、空砲訓練を行う旨の説明を経て、空砲訓練もメニューに入るようになりました。

ミサイル車両の展開訓練は空砲訓練以前より行っています。
もし信じられないという方がいましたら、陸上自衛隊保良訓練場前にお越しください。
ゲート前からは保良集落の家並みを見ることができます。

軍事に詳しい方や、海外からの見学の方に「これだけ住宅地に近い軍事施設は見たことがない」と言われることがあります。
私は那覇空港那覇駐屯地にも、いつも驚いていますが、保良訓練場も引けをとらず住宅地に近接した施設で、ジュネーブ条約「軍民分離の原則」を遵守しようとすれば、有事下には、住民はここから出ていかざるを得ないでしょう。

自衛隊に詳しい方が「民家手前で野外訓練するわけがない」というほどの、有り得ない風景が広がっています。
ぜひ保良訓練場南ゲートに来られて、「保良訓練場」の看板の前に立ってみてください。
時間が許せば滞在して、訓練の様子も見ていただきたいと思います。