2021.8.15 防衛局による地元説明会に際し透明性ある開催をもとめる要請

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市長要請をおこなう平和ネットワークのみなさん

沖縄防衛局から宮古島保良訓練場における訓練の説明をおこないたいと申入れがあり、8月の開催で調整が進んでいます。

しかし聞けば、参加は近隣住民のみ。マイクロバスで訓練場内に運ばれて、そこで説明を聞くと言います。過去2回の説明会は地域公民館で、取材も録画もできるかたちでおこなわれました。今回はなぜ訓練場というクローズドな空間でおこなうのか?

自治会長さんを通して確認しますと「説明会ではなく訓練の見学会」と答えたといいます。

自治会長さんが伝書鳩になってしまうのも申し訳ないので、許可を得て、直接担当の方へご連絡しました。開催の趣旨をお聞きすると、防衛局担当者は「個人では回答できない」「広報室に聞いてください」と言うので、広報室へかけ直し。以下、やりとりをメモします。

―― 開催の趣旨は?
現在実施している訓練について保良・七又の住民を対象に内容を説明するものです。

―― 参加者として説明に対する事後検証性が必要と考えるが、録画等記録はできるか。
訓練場内の保全のため録画は禁止です。

―― 今回をもって今後おこなっていく訓練の説明をしたということになるのか。
当日の内容は未定です。

7/27(火)沖縄防衛局広報室 回答

これではなかなか納得できないので、追加で質問すると、数日経ってのお返事。

―― 保全のため録画ができないというが、公民館等で開催すればよいのではないか。
今回は訓練を実際に見てもらうため~云々

―― 保全のため録画ができないというが、録音はどうか。
録音は可能です。

8/5(木)沖縄防衛局広報室 回答

録音が可能とのことなので、当日は録音がしやすい環境にするようにと要望しました。

このやりとりの最中ではありますが、三つの市民団体とともに市長への要請をおこないました。同様の内容を、沖縄防衛局、防衛省へもお送りしています。

市長は説明会の日付を聞いて、「市には連絡がない、みなさんからこういうことを聞く、という状況にある」と話されていました。沖縄防衛局へは申入れをおこなうとのことでした。

あわせて、この問題を保良・七又地域に矮小化せず、ひろく市民に参加できるよう、宮古島市民を対象にした説明会をおこなうこととした要請もお渡ししました。

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訓練開始後に急きょ「訓練見学会」が開催される理由

いまだ施設建設中にもかかわらず、令和3年4月1日より運用開始し月数回の訓練をおこなっていましたが、運用開始後の今頃になって説明をおこなうのには経緯があります。

5月24日、保良訓練場で夜間訓練がおこなわれました。この際、空砲での射撃訓練があり、翌日には火砲をもちいた模擬弾訓練がおこなわれています。

事前説明では「全国的にも弾薬庫訓練場において騒音を伴う訓練は行われていない、そのことはお約束できます」と回答しており、訓練はこれと異なるものでした。

※動画で質問しているのは私です。地域住民なので参加していました。

6月7日、沖縄防衛局へ要請に行った際には、事前説明会にない訓練が行われていることを指摘しました。

沖縄防衛局は事前説明で説明がなかったことを認めながらも、駐屯地から通知を出していると回答しています。しかし「空砲」の欄にマルがついただけの通知で説明になるのでしょうか。

しかも、防衛局が騒音はないと説明したにも関わらず、駐屯地が騒音をともなう訓練があると通知すれば、結果、地域への説明はしたということになる。それでは防衛局の説明は何だったのかと、文民統制がおかしな話になっています。

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左)5月の訓練通知書 「空砲等使用」「ヘリ使用」欄がある/右)8月の訓練通知書 ヘリ欄が消え、左下に諸説明が追加。

そのあたりの矛盾を知事公室長や地元メディアへもお話しました。そのことがあったためと思いますが、急遽、防衛局から地元保良・七又地区への訓練の説明が行われることとなったのです。

行政の透明性は民主主義のかなめ

なぜ地元住民に限定するのか? なぜわざわざ訓練場内に連れていくのか。録音について確認しなければ、参加者による記録は「禁止」のままだったのか。

事前説明会とこなる訓練をおこなっていくことについて、謝罪や反省の言葉ひとつなく、新たな説明会で上書きして、既成事実を作っていく。地元住民との合意形成への努力はほとんど見られず、むしろ声をあげることができないよう、小さく囲い込んで「見えない」問題にしていく。

訓練ひとつとってもこれだけ労力をかけて声をあげないと、当初なかったことさえもどんどんと進められてしまいます。このことがあまりにも不誠実で、この地域にすむ私たちを軽んじ、ないがしろにするものと感じさせます。

些細なことかもしれません。沖縄島に出かけて行って訴えれば、ここでは学校にヘリの部品が落ちてくるんだぞという空気で、記者さんたちは話をさらっと聞いて帰っていく。けれどもこの些細なところに民主主義を軽んじるあまりのひずみがあること。

防衛局の説明を駐屯地が事後上書きできる。その説明の場を取材禁止・記録禁止・参加者限定の環境でおこなう。これでは、民主主義の壊死にほかならない。

ひとつひとつが地域の戦いであり、民主主義における行政のありかたをめぐる戦いであり。面倒だけど、面と向かって物を言っていかなければならないと思っています。