6月1日、重要土地規制法の一部施行が始まりました。
宮古島を含め南西諸島の島々は「国境離島」として区域指定される可能性が高いとされていますが、報道もほとんどなく、市民として情報がまったくない状況です。
5月27日におこなわれた省庁への共同ヒアリング、報告会をオンラインで視聴しました。
内閣府内閣官房の準備室が受け答えされていましたが、ほぼゼロ回答という中で一部施行が始まったことが分かります。また官僚のみなさん、法令に書かれている以上の倫理は期待できないものなのだなあと思いました。
ひるがえって法というものがどれだけ大切かが分かります。
6月に一部施行、9月に全面施行となる予定です。
基本方針は9月22日までにできていることが望ましいと考えていると回答、区域指定や、重要施設の基準、罰則の対象となる行為などは現時点でも未定とされていて、9月以降、審議会で検討されるようです。
雑感
法律で命令を定めるときはパブリックコメントが必要です。
しかしその一方で、内閣府準備室の回答では、可能であれば、パブリックコメントをせずに全面施行に移行したいと考えていることが伺えました。
重要土地規制法は、施設阻害行為があった時、中止命令、罰則もある内容ですので、命令の定めは不可欠なはずです。
そこで行政手続法を確認すると、条例や規則による命令の定めであれば、パブリックコメントは必ずしも必要ではないとしています。
内閣府準備室は、法律ではなく規則などで命令を定めることができるかを検討しているのかもしれないと感じました。ただ、規則では形式的効力は弱まってしまうはずですが。
パブリックコメントの際は、「当該命令等の案及び関連資料をあらかじめ公示し」、広く意見を募集しなければならないとしています。
つまり、命令の定めにおいて、命令の根拠を示さないといけないのです。内閣府準備室は、何をもって罰則とするかを曖昧にしておきたいようで、「事例をすべて羅列できないが、できる限り例示する」との主旨の回答をしています。
○命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及び関連資料をあらかじめ公示し、意見提出期間等を定めて広く一般の意見を求めなければならない(第39条第1項)。
PDF:パブリックコメント制度(意見公募手続制度)の概要
法定罪刑主義にのっとり、何をもって罰則とするかには明確性が必要ですが、あえて事例の例示で済ませようとする政府としては、パブリックコメントで命令の定めの根拠とする資料を示せないため、可能な限りパブリックコメントを避けようとしているのではないか...?
という印象をもった共同ヒアリングでした。
※なお、パブリックコメントにあたって『原則として、案の公示日から起算して30日以上の意見提出期間を定める』としているので、少なくとも9月22日の30日前(8月23日ごろ)には募集を行わないといけないことになります。
もちろん、パブリックコメントの結果を反映する期間を考慮すると、8月20日前後では遅いのですが。
まとめ
パブリックコメントはおこなうか
- パブコメについて>法令上、命令に関するものはパブコメを行うこととなっているが、基本方針を作っている段階のため、パブコメを行うかどうか含めて検討中
- 全面施行は9/22(までに施行する)、いつ決まるのか>お答えできない
※法令に照らしてみて、パブコメを行わなくて良い場合は、行わない方針。というように聞こえます。 - 基本方針は9/22までにできあがっていることが望ましい(内閣府見解)
※必ずしもできあがってない可能性もあるということ? - ギリギリにパブコメをおこなった場合、パブコメをどう基本方針に反映させるのか?(反映させるつもりは初めからないのでは?)
罰則の基準は?
- 罰則基準>すべてを羅列できないが、想定される行為をできるかぎり例示する
- 罰則規定があるものなので、明確性がないといけないのでは(罪刑法定主義)>附帯された意見を汲んで検討する
重要施設の基準とは?
- 諮問予定の施設数は?>決まっていない
- 事務局案を出すかどうか>出すかどうか含めて検討している
- 自治体の意見を聞くかどうか、考え方の段階から聴くのか?>審議会にかける前なので示せるものがない
→ではなぜ報道で名前が出たのか>正直なところ...(と言いかけて論点を変え)どういうプロセスでかけるか、お話できる段階にない
※水面下で候補地が出ていることは否定してないように見えます。
※報道が誤報なら否定すべきでは>沈黙
土地利用調査で思想信条(プライバシー)にかかる調査をおこなうか
- 思想信条にかかる調査をおこなうか>行いません
- 基本方針に記載するか>本日は答えられない
6/1以降おかれる政策統括官について
- どんな権限を持つか>沈黙