2021.6.7 沖縄防衛局 搬入撤回と配慮のない訓練中止の要請

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本日は嘉手納町にある沖縄防衛局へ、保良訓練場における弾薬搬入、騒音をともなう訓練について、申入れに伺いました。

自治体を無視しておこなわれた弾薬搬入

弾薬搬入については、5/28(金)超党派議員でおこなう「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」で、国民保護計画の改定を進めていることを認めた防衛省が、宮古島市から国民保護計画を改定するまで搬入を待つよう要請があれば尊重するか?という質問に対して、「尊重するのは当然」と答えています。

しかしその発言から、週が明けて6/2(水)早朝、メディアによって弾薬搬入の情報がもたらされました。午前の段階で宮古島市の秘書課は情報を知らされておらず、その後、昼1時半ごろに市への通知があったと言います。通知まもなく昼2時15分、野原の空自基地にミサイルを積んだヘリが到着します。

弾薬庫建設に対して地域で反対決議がでていることは言うまでもなく、市としても「住民の合意のない配備には反対する」とメッセージを出してきました。とくに弾薬搬入に関しては、「日時・ルートを明らかにするように」と要請しており、市長の頭越えに搬入をしないようもとめてきましたが、地方自治をあまりにないがしろにした搬入でした。

防衛省宮古島駐屯地にとっての宮古島市長は、いまでも下地敏彦前市長なのかもしれません。

説明とことなる訓練

平成30年2月におこなわれた保良地域での防衛省説明会。当時の録画を見返してみると、「屋内射撃場のほかに野外訓練場があるが、どのような訓練をおこなうのか。騒音・振動のおそれはないか」という質問がありました。

質問者は私なので記憶には残っていますが、念のために記録をあたりますと、防衛省の回答は「そのような訓練は考えていない」「全国的にいっても大きな騒音が生じているということはない」とのべています。

それにも関わらず、5月24日におこなわれた訓練では、夜間に射撃音の響き渡る空砲訓練がおこなわれました。翌日25日には、模擬弾を使用した火砲の訓練で集落にドーンという音が響き、近隣の住民が様子を見に訪れています。

状況を聞くために駐屯地に電話された方は、鉱山だった頃にダイナマイトを使用していた過去があるでしょという主旨のことを言われたのだそうですが、当時はそれで近隣家屋の壁にヒビが入り、鉱山に苦情が寄せられているのです。

当時、鉱山採掘との関連性の立証までは至りませんでしたが、ダイナマイトを使用した採掘は以降しなくなったのだと聞いています。

つい感情的になって長々書いてしまいますが、以上のような経緯により、今回の訓練に対する見解をうかがいに防衛局へ面談を申し入れしていました。

沖縄防衛局との面談

弾薬搬入についての撤回、地元に配慮のない訓練の中止をもとめて面談の時間をいただきました。事前提出した質問は15項目ありましたが、つい話が集中したのは事前説明と矛盾があった訓練のことでした。

 
事前の説明とことなる訓練をおこなったことについての見解と経緯

防衛局は説明会において「騒音・振動をともなう訓練はない」と説明をおこなっていたことを認めました。
しかしそのうえで、その後「駐屯地から訓練内容を通知している」と、騒音・振動をともなう訓練について正当化してきたので、その点、矛盾を指摘しました。

まず、駐屯地からの通知の訓練内容は一枚の紙で「空砲」の欄にマルがついているだけのものです。空砲訓練が騒音をともなうものと知っているのは、一般人では難しいのではないでしょうか。

次に、この訓練内容通知の紙には「ヘリ」欄もあり、今回は「事前説明のなかったヘリの訓練も今後おこなうのか」という主旨の質問もしました。これについて防衛局は「平成28年に説明している」と回答。

しかし保良の弾薬庫・訓練場の用地選定について防衛省が発表し、説明会をおこなったのは平成30年2月です。平成28年におこなった市全体への説明をもって、保良訓練場でもおこなうとするのは無理があるでしょう。

「それならなぜ、保良への説明のときに、配布の資料にも、職員からの説明にもなかったのですか?」と質問をすると、言葉につまっていました。

 
背広組と制服組、シビリアンコントロールはできているのか

さらに、直近の地元説明会で住民からの「説明会で訓練場とされていなかった場所で訓練をしている。集落に近い場所なのでやめてほしい」という意見に、現地司令官より「敷地内でどのような訓練をするかはこちらで決めること」という主旨の回答があったとすることへの見解ももとめました。

これに関しては確認するとのことでしたが、いくつかの点をつないでいくと、現在の防衛省自衛隊の問題点が浮かび上がってきます。

いくら防衛省が事前に「住民に十分配慮する」「問題が起きた時は解決に向けて調整する」と言っていても、一度、配備展開すると、あとは地元駐屯部隊に権限が移り、騒音をともなう訓練について紙一枚の通知で「通知した」となり、住民の声は「意見のひとつとして受け止める」と無視されてしまう。

実は今回の面談も、防衛局からは一度断られています。問題は自衛隊との間におこっているので、そちらと対話してくれというのです。そこを屋良朝博衆議院議員に仲介いただいて、防衛省からの調整が入り、この日が実現しました。

省庁と駐屯地のあいだでコントロールはきちんとできているのか。ここが崩れているから、当初、防衛省が説明した「騒音・振動をともなう訓練はない」としたことが、地元駐屯地の出した紙一枚で上書きされてしまう。一度配備すれば、あとは駐屯地裁量で軍事優先の展開が進んでいく。

また、屋良議員から、国民保護計画について「本省は『地元の要請があれば尊重する』と言ったが、局の回答では『ミサイル搬入とは関係がない』として見解が異なっているがどういうことか」と質問がありましたが、沖縄防衛局は「これが本省に確認しての回答」とのことでした。

防衛省のあの発言から、翌週には陸上幕僚長が「早急に搬入する」と述べており、ここでもまた防衛省陸自側の見解に歩み寄った形となりました。
 

弾薬搬入の日は、宮古島駐屯地選定をめぐる贈収賄事件での下地前市長の起訴が報道されました。防衛局に足を向けた今日は、下地前市長が指定管理委託にあたって、さらに1000万円受領した疑惑が報道されました。どの報道も、心寒く受け止めました。

方言で「島を食う人」という言葉があります。タコが自分の足を食べているみたいと表現されることもあります。陸自配備については、そのような思いが重なります。

今日は雑談で、宮古島空港の地下にトンネルをつくり、空港を迂回せずに市街地に行けるようにしてほしいという要請が、長らくなされていることが話題になりました。サンゴ礁の島、地下水で生活水をまかなってる島で、地下にトンネルを作るなんて…と思いますが。

しかし、さもありなんという気持ちにもなります。土地規制法においては国境離島として宮古島が特別注視区域の想定とされています。普天間基地の周辺に民家が密集していることを「引っ越せばいいのに」とテレビで言った大物芸能人がいました。

当時私は東京に住んでいて、米軍基地問題なんて海の向こうの話でしたが、この言葉にはかっとなってテレビ局に電話したものでした。

14世紀ごろから歴史資料に登場する宮古島ですが、この長い歴史をもってこの島に暮らしてきた私たちも、南西陸自配備にかかる基地を受け入れたことで、周辺にすむ私たちが「引っ越せばいいのに」と言われるようになってしまう。

そんなこの国の空気のことを、時おり考えます。(ちなみにこの14世紀の記録にあるのは、保良のあたりではないかと言われています)。

いつもは少しでも明るく、と思って日々を過ごしていますが、ここ数日は暗たんとした気持ちになることが多いです。

那覇のホテルにて。