土地規制法案について

●国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律案

土地利用規制法案、気にかけながらもあまりふれる機会がなく。
思い立ったところで記載しておこうと思います。

まず「外国資本家による基地周辺土地の売買を抑止」との理由がしめされていますが、実際の規制対象は下記の通り。

・国家安全保障に係る土地等取引等に該当すると認めるとき

これは海外資本家に限ってないですよね。
国家安全保障に係る土地等取引等とはたとえばどのようなものが考えられるでしょうか。

例えば千代田駐屯地の近隣に保育所、マンションが作られたら。
施設内火薬庫の保安距離・種別が厳しいものとなり、火薬庫における火薬量が制限される。

このことをもって、駐屯地近隣のあたらしい施設をつくらせないようにする。そのことが可能になるのではないですか。

9 内閣総理大臣は、第四項の規定により土地等の取引等を行ってはならない期間を延長した場合において、同項の規定による審査をした結果、第一項の規定による届出に係る土地等の取引等が国家安全保障に係る土地等取引等に該当すると認めるときは、重要国土審議会の意見を聴いて、当該土地等の取引等の届出をした者に対し、内閣府令で定めるところにより、当該土地等の取引等の内容の変更又は中止を勧告することができる。ただし、当該変更又は中止を勧告することができる期間は、当該届出を受理した日から起算して第四項又は次項の規定により延長された期間の満了する日までとする。

14 第九項の規定による勧告を受けた者が、第十一項の規定による通知をしなかった場合又は当該勧告を応諾しない旨の通知をした場合には、内閣総理大臣は、当該勧告を受けた者に対し、当該土地等の取引等の内容の変更又は中止を命ずることができる。ただし、当該変更又は中止を命ずることができる期間は、当該届出を受理した日から起算して第四項又は第十項の規定により延長された期間の満了する日までとする。

この法案が通れば、保良訓練場内で係争中の土地も「安全保障上の理由」から強制的に買い取りができるようになります。

第十九条 第一種重要国土区域内に所在する土地等について、国家安全保障上特に必要であり、かつ、当該土地等を国が取得し、これを管理することが適正かつ合理的であると認めるときは、この法律の定めるところにより、これを収用することができる。

仮に土地規制法にかかる規制をかけられた時、市民はその理由を防衛省に開示することができるのでしょうか?

今の防衛省では、おそらく理由は「防衛機密」として明確にしないでしょう。
法が目的にそって正しく運用されているか、市民のチェックが及ばないよう日夜努力を惜しまない防衛省には、まず「安全保障上の理由」の範囲を明確にし、この規制法が正しく運用されるか、第三者チェックをおこなえる体制を必須とするべきです。

[参考]
2021年4月20日付、『「土地規制法案」に反対し、廃案を求める声明』を発表しました | 自由法曹団ホームページ